歯の CI をまわしたい
「しっかり磨くようにしてくださいね」「次から意識してみてください」
思うに「しっかりやる」「気をつけてやる」で済むなら、ぼくが虫歯になることはなかろうと思う。2019 年と 2020 年の歯の治療と口内のメンテナンスを経験して、ぼくは、自分に足りていなかったのは精神ではなくてスキルであると認識した。一生懸命に歯みがきする心ではなくて、口内をきれいにするスキルがあればよかったのだ。 ソフトウェア開発に置き換えて考えてみる。歯みがきスキルはプログラミングスキルだ。「きれいなコードを書くぞ!」という心構えがあればきれいなコードを書けるというわけではない。「歯をきれいにするぞ!」と思えばきれいにできるというわけではない。正しい歯みがきの方法を知っていて、体現できなければならない。 開発当初から Linter を導入して CI で定常的に実行しているリポジトリであれば、あらたに開発に参加する人がそのリポジトリのコーディング規約に従ってコードを書くのはそんなに難しいことではない。これが、コードを書いた 1 ヶ月後に「こことこことここのコードは規約違反です」とまとめて指摘される運用であったらなかなか厳しいと思う。おまけに「もっとちゃんと気を付けてコーディングしてくださいね」とか言われたりすることを想像してほしい。厳しい。歯医者における歯科衛生士さんとの会話は、これくらいの実態だと思う。 もし「口の中をピッとやると、汚れがあるかどうか数値でわかるデバイス」があったとすれば、毎日、汚れがゼロになるまで (あるいは、しきい値を下回るまで) 歯みがきをすればよいということになる。心構えはそんなに大事じゃなくて、スキルもそこまでなくてよくて、ただ「計測が大事」という話になる。
そういう世界になってほしい。ただ、そうなると歯医者さんは儲からなくなるんだよね。本題とは外れたところに、ビジネス構造のむつかしさはあると思う。